ねこねこ、いいこ(化猫「大詰め」感想)
ようやく人の口から語られた真(まこと)と理(ことわり)。それは化猫の真と理とは異なるものだった……。
芥川龍之介の「藪の中」みたいな話ですね。でも、おそらくどちらも全くの嘘ではないのだと思います。
男の側の「真」はたまきは拒まなかった(それどころか自ら進んで……)。
でもこれは男の側の「出来事の解釈」。周辺の民から恐れられていたらしい男。その男にさらわれて、恐怖のため、家族に難がかかるのを恐れて、とにかくこの場をしのぐために。様々な理由で「拒めなかった」。それを「合意の上」と解釈したとも思えます。
たまきの待遇にしても男は屋敷のものに手厚い処遇を命じたけれど、それは実行されなかったのかも(普通奥さんが許さないでしょそんなことは)。
猫の「真」は、たまきは屋敷内に監禁されしいたげられた結果、無残な死をとげたということ。
でもこれはたまきから恩を受けた猫の側の「出来事の解釈」。猫はたまきが隠し部屋につれてこられた当初からの事情を見ていたとは限らないんですよね。
たまきが「帰して」と言い出す前のことは出てなかったはず。帰してと言い出す前(男の意のままになっていたとき)は厚遇していて、「帰して」と言われて逆上し、手のひらを返したのかもしれないわけです。
結局立場によって「ひとつの出来事」はいろんな解釈ができるということ。
しかし化け猫が今このとき襲ってきたのは、たまきの無念を知るあの猫と、屋敷内で斬られた猫たちの恨み、それらがつもり積もっていたところに、この家から幸せ(?)な花嫁が出て行くということが許せなかったということでしょうね。
いろんな恨みが積もった結果、当時の関係者かどうかはかかわらず人を襲う存在になってしまった猫。薬売りに恨みを断ち切られて、ようやく猫と共に屋敷を出て行くことができたたまき。めでたしめでたし。
3話目で真と理を説明してオチもつけるのは尺が足りないんじゃないかと思ったんですが、そんなことはありませんでした。ストーリーは古典的な構成ですが、展開の速さは現代的かな。
ただ1話を見逃して2話3話を1回しか見てない私には、最後までご隠居の息子2人の区別がつきませんでした。テクスチャや話のテンポの早さの弊害といえるかもしれません。
話の中で何回か名前を呼んでいたけど、もっと外国ドラマばりにばんばん名前を呼びあう(「そうだよ、ボブ」「ジョン、君のいうとおりさ」みたいに)か、字幕をつけてもらわないとわかりにくいかも。
DVDは特典:スタッフ&キャストによる音声解説(限定版のみなのか不明)があるらしいです。解説でいろいろ明らかになるのかも。キャストは誰かな?櫻井孝宏氏かな。大塚周夫氏は……無理かなあ。
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